登録・届出が不要となる電気通信事業に該当するか否かは、以下の項目をチェックします。該当する場合は「登録・届出が不要となる電気通信事業」となります。一方、いずれにも該当しない場合は、さらに「電気通信事業を営む場合」に該当するかどうかをチェックし、該当しない場合は「登録・届出が不要となる電気通信事業」に該当することになります。
- 「専ら一の者に電気通信役務を提供する」場合に当たるかどうか
- 「同一構内・建物内に設置した電気通信設備により電気通信役務を提供する」場合に当たるかどうか
- 「線路のこう長の総延長が5km未満の電気通信設備により電気通信役務を提供する」場合に当たるかどうか
- 「他人の通信を媒介せず、かつ、電気通信回線設備を設置しない」場合に当たるかどうか
「専ら一の者に電気通信役務を提供する」場合とは
「専ら一の者に電気通信役務を提供する」場合とは、あくまで、電気通信役務の提供先が1人又は1社に限られている場合が該当し、たとえ主として一の者に電気通信役務を提供する場合であっても、他の者にも電気通信役務を提供する場合は、これに該当しません。
また、親会社である電気通信事業者が、専ら一の子会社である電気通信事業者に対してのみ役務を提供する場合(提供先の1人又は1社が電気通信事業者である)場合も、「専ら一の者に電気通信役務を提供する」場合には当たりません。
「同一構内・建物内に設置した電気通信設備により電気通信役務を提供する」場合とは
「同一構内・建物内に設置した電気通信設備により電気通信役務を提供する」場合とは、同一構内(これに準ずる区域内を含みます)又は同一建物内に電気通信設備を設置して、同一構内又は同一建物内に閉じる電気通信役務を提供する場合のことをいいます。
ただし、当該電気通信設備と他事業者の電気通信設備を接続等して、同一構内又は同一建物内に閉じない範囲まで料金設定し電気通信役務を提供する場合は含まれません。
ちなみに、「構内」とは、障壁、へい、道路、水路など明確な表示物によって他と区別された一定の区域内で地続きであるものをいいます。また、「これに準ずる区域内」とは、水路、生垣等で隔てられていて、一見2つ以上の区域に見えるが、(それらの相互間の距離が短い等)社会通念上1つの区域内とみなされるような場所のことをいいます。
「線路のこう長の総延長が5km未満の電気通信設備により電気通信役務を提供する」場合とは
「線路のこう長の総延長が5km未満の電気通信設備により電気通信役務を提供する」場合とは、実際に敷設された同軸ケーブルや光ファイバ等の総延長が5km未満の電気通信設備に閉じる電気通信役務を提供する場合をいいます。
「こう長」とは、敷設された長さに芯数をかける芯線長や敷設された長さに条(一定の芯数毎に芯線を束ねている被覆)数をかける条長ではありません。
ただし、当該電気通信設備と他事業者の電気通信設備を接続等して、これを一体として、線路のこう長の総延長が5km未満の範囲を超えて料金設定し電気通信役務を提供する場合は含まれません。
また、無線伝送路設備については、FWAといった固定通信役務に関するものは2地点間の距離をいい、携帯電話といった移動通信役務に関するものはここでいう線路からは除かれます。
「他人の通信を媒介せず、かつ、電気通信回線設備を設置しない」場合とは
「他人の通信を媒介せず、かつ、電気通信回線設備を設置しない」場合とは、「他人の通信を媒介する電気通信役務」以外の電気通信役務を、電気通信回線設備(送信の場所と受信の場所との間を接続する伝送路設備及びこれと一体として設置される交換設備並びにこれらの附属設備)を設置することなく提供する場合をいいます。
ただし、電気通信回線設備を設置し電気通信役務を提供する場合は、他人の通信を媒介しなくても届出等が必要となりますので、ご注意ください。
「電気通信事業を営む」場合とは
「電気通信事業を営む」場合とは、電気通信役務を利用者に反復継続して提供して、その対価として料金を徴収することにより電気通信事業自体で利益を上げようとすること、すなわち、収益事業を行う場合をいいます。
具体的には、株式会社等が営利の目的を持って行う事業はもちろんのこと、公益法人や非営利団体が原価を償う程度の有償性を持って行う収益事業も含まれます。この場合、現実に利益が上がることを要しません。
なお、名目上電気通信役務を提供することについて料金を徴収していないとしても、実質的に電気通信役務の提供により利益を上げているとみなされるときには、「電気通信事業を営む」に該当します。